フリーランスはたくさんはたらく

フリーランスはたくさんはたらく

やりたくないなら、やらなくてもいいよ。替えはいくらでもいるから。そんな無言のプレッシャーを受けつつ、深夜まで働き、ときには朝5時6時になることもざらだ。もちろんなかには愛情深い人もいるが、仕事を回すためには容赦がない人も多いのは事実だ。正社員は組織に守られているが、フリーランスは守られていない。多数派と少数派の対立が露わになる瞬間だ。こんな仕事やりたくないし長くは続かないという種類の仕事なので、フリーランスという雇用形態が選ばれるのだ。仕事を選ぶなというが、正社員なら、休職の嵐だろう。労働時間が長く、深夜朝方も働くというのは事実だ。もちろん正社員にも仕事のプレッシャーはあるが、潰れたとしても出世コースから外れるとか飛ばされるだけでそう簡単にクビにはならない。会社にも体裁があるので、そうやすやすと社員へ圧力をかけるわけにもいかない。

 
本などで語られる理想論では、自由な働き方を手に入れるといったことがある。あれは真っ赤な嘘だ。真っ青な顔をして働いているのが現状だ。会社からすれば、工場みたいなもので、ただただ作業をひたすらにしてくれれば文句はないというわけだ。
 
フリーランスはスキルがないと地獄
大前提として、なんのスキルもない人がフリーランスになるのは無益だ。ただキツイだけだ。足元をみられるだけだ。かたやスキルのあるフリーランスはけっこう楽しそうだ。時間も仕事内容も自分で決められる。おもろいことをするという自分の感覚で生きられる。これは本に書いてある通りのようだ。だが、世の中の大半の人はそのような働き方はできない。会社の歯車となってはじめて機能している。
 
だから、いま企業で正社員なのであれば、この場でなにが学べて、その分野で金を稼げる領域は何かと考えたほうがいい。スキルがあるという前提もなしに鞍替えするのは、水の張っていないプールにダイブするようなものだ。飛んだ瞬間は気持ちがいいかもしれないが、そこに水はない。あるのは硬いコンクリートだけだ。それなら、陸上でフォームの練習でもしていたほうがいい。私はいまプールに水がないことに気づいて、痛む足を引きずりながら、右往左往している。大事故だ。
 
フリーランス(にはかぎらない)に必要なスキル
この容赦ない現実の中で、ウェブの工場作業員としては、闘わなければいけない。作業員には作業員なりのやり方があるはずだ。トヨタの工場員と、なにも考えないアルバイトの人では仕事に対する向き合い方が違う。それに現場でしかわからないこともある。なにかを作るという点では、現場感が必要なことは間違いない。
 
世の中を渡っていくには、自分で水を張るか、水のあるプールまで移動するしかない。プールに水をはるには、需要を見つける、作り出すことが必要だ。そのためには、自分がなにができて、他人が何を求めているのかを把握しなければいけない。想像力が根本にある問題だ。他人の気持ちがわからない自分としては至難の技に思えるし、自分の中に使える武器がなんなのか見当がつかない。結局、おもてなしの心というか、人が何に喜ぶか何を嫌がるかを理解していなければ話にならないのだ。この感覚を身につけるのは並大抵のことではないと思う。たいていの仕事は客の姿が見えづらい。何を考えているか言ってくれるわけではないし、そもそも本人が気づいているとも限らない。隠れたニーズを見つけ出すわけだから、難しいに決まっている。需要のある場所に移動するのにも、自分がなにができて、他人はなにを欲しているのかを把握しなければいけない。
 
フリーランスの自由な働き方
需要、ニーズを見つけ出して、それを満たすスキルがあってはじめて自由な働き方ができる。それなしでは、ケガをするだけだ。ただ、唯一の救いは現場にいるということだ。客の位置が近い。姿を比較的捉えやすい。なにか改善をした時の反応も見えやすい。相手の立場や心情を徹底的に考え抜くことが大事だ。